この私、シャア・アズナブルがMGを作ろうというのだよ、アムロ

シャア「な、ない…」

ガルマ「ガンプラを語るのであればHGUC程度で満足していてはいけないなシャア。私ほどのガンプラ愛好家ともなるとMG並みのボリュームとギミックが恋しくなるものさ」

シャア「ぐぬぬ…！」

ガルマ「そうそうシャア、今週末はお父様とギレンお兄様とキシリアお姉さまとドズルお兄様で静岡のバンダイホビーセンターに工場見学へ行くんだ、シャアも行ってみたいと思うだろう？あ、うちのガウは5人乗りなんだ、悪いなシャア」

シャア「ガルマ、私からの手向けだ！ボンボンはボンボンらしくしていればいい！」バンッ！

アムロ「いや、そのりくつはおかしい。どこのの○太くんだ君は。だがそういえば君はまだMGを作ったことがなかったな」

シャア「最初に箱と値段を見たときのトラウマがあってな…なかなか手を出せんのだ」

アムロ「ガンプラ初心者にMGは仰々しく見えてしまいがちなものさ。だが今のシャアであればMGであっても難なく作れるはずだぞ」

シャア「それは本当かアムロ！？」

アムロ「ああ、基本的に最近のガンプラは誰でも気軽に作れるような作りになっているからな。極端に言ってしまえばそんなに敷居が高いガンプラというものは存在しないんだよ」

シャア「よし、今度はMGに挑戦するぞ！アムロ！そうと決まれば早速MGを買いに行こうではないか！」

アムロ「なんだ、シャア」

シャア「アムロ、君はいつもガンプラをソレスタルホビーイングのような模型店で購入しているのは何故だ？ヨ○バシとかヤ○ダの方が安いだろう？」

アムロ「そうだな、ガンプラは量販店で購入するとたいていは定価の三割引きで買えてしまう、しかもポイントも10％貯まることもザラだからお買い得と言えばお買い得だ」

シャア「こう言ってはなんだがソレスタルホビーイングは量販店と比べると少しばかり割高で気になっていたのだ」

アムロ「シャア、今全国各地の模型店は悲鳴を上げているんだよ」

シャア「それは一体どういうことだ？」

アムロ「消費者はできるだけ安く商品を手に入れたいと思うものさ、その考えは正しいし間違ってもいない。だが量販店でガンプラが売れる一方値引き率の渋い模型店ではガンプラが売れなくなってきているんだよ」

シャア「これが時代か…」

アムロ「これはガンプラ以外の模型にも言える話だ。実際に個人経営の模型店は量販店の台頭により仕方なしに閉店へと追い込まれていたりもする」

シャア「なんともいたたまれない話だな」

アムロ「だが俺は模型店でガンプラを買うという行為にも意味があると思っている。模型店の店長さんや常連のお客さんとの交流、お店が開く小さなコンテスト、古き良き模型店の伝統と人の温かさは廃れさせてはいけないんだよシャア」

シャア「確かにそうだな…私もソレスタルホビーイングのロックオンには親切にしてもらった、少年との出会いもなければ今の私もいなかった」

ロックオン「いらっしゃい、いつものお二人さんじゃないか、今度は何を作るんだい？」

ハロ「イラッシャイ！イラッシャイ！」

アムロ「シャアが初めてのMGを作ることになったのさ」

シャア「ガンプラマイスターは生きている限り精進しなければならないのだ。しかし改めて見るとMGの種類も相当なものだな」

ロックオン「MGの歴史は17年前から始まるんだ。今までのガンプラの技術を全て詰め込んだ究極のガンプラを目指してMG 1/100 RX-78-2ガンダムがMG第1号として発売された」

アムロ「発売当初は模型店に長蛇の行列ができるほどの大人気だった、なんてったってそれまでのガンプラの常識を覆すようなクオリティだったからな」

シャア「なるほど、正に本物のガンダムが一年戦争に実戦投入された際のような衝撃だったというわけか」

アムロ「その後MGはガンプラの主流シリーズとしてラインナップを重ねていくんだ。そしてHGUCでは発売されていない機体やMSV（モビルスーツバリエーション）のようなマニアックな機体まで発売されるようになりMGは人気を博したのさ」

アムロ「古いMGは近年の技術を用いてVer2.0というリニューアル版が発売されることも珍しくないのさ。特に俺のガンダムRX-78-2はMGだけでも6種類はある」

ロックオン「だが勘違いしないで欲しいのは新しいキットだからといって古いキットの出来が悪いというわけじゃない、ってことさ」

アムロ「確かに新しい方が可動やギミックも優れているかもしれないが、プロポーションやパネルラインのディティールは好みが分かれたりもするからな」

シャア「奥が深いな、MG！」

泉野明「それにMGはガンダムだけのものじゃないんだよ、私のアルフォンスまでMG化されてるんだから！」

篠原遊馬「MG機動警察パトレイバーシリーズの惜しいところは零式やヘルダイバーが発売されなかったことだな、うん」

ショウ・ザマ「オーラバトラーの中では唯一ダンバインがMGにて発売されてるぞ」

シャア「ううむ、よくわからんな、どういうことか説明してもらおうか」

孫悟空「ロボットだけじゃなくてオラみてぇなサイヤ人もプラモデルになっちまうってことだ、MGのこれからにはオラもワクワクすっぞ！」

ルフィ「おれのMGも出てんだぞ！ゴムじゃなくてプラスチック製だけどな！ししし！」

本郷猛「そして我々仮面ライダーもMGにて好評発売中だ！ライダー変身！とうっ！」

左翔太郎&フィリップ「さぁ、お前の積みを数えろ！」

火野映司「はい、買った～」

照井竜「レジがお前のゴールだ」

虎鉄「そして今はMGワイルドタイガーもワイルドに予約受付中だ！みんな予約してくれよな！」

バーナビー「おじさん、こんなとこで宣伝なんてみっともないですよ、やめてください。ちなみにMGバーナビーはおじさんの翌月発売です」

シャア「そうだな、最初に作ったガンプラがHGUCシャア専用ザクだったから、MGでもシャア専用ザクを作ろうと思うのだが」

アムロ「それならまずはこのVer2.0がオススメだ。MGザクVer2.0は巷でも評判がいい良キットなのさ」

ロックオン「初期のMGシャア専用ザクも俺は好きだが最初に作るのであればVer2.0が妥当だな、キットの難易度としても初心者にはもってこいだ」

シャア「価格もMGの中では安すぎず高すぎず丁度いいな、よし、ここれに決めたぞ」

ロックオン「HGUCとのパーツの差にビビらないで頑張って組み立てろよ、毎度ありぃ！」

アムロ「そんなこと言ったらMGEx-Sガンダムやジ・Oはもっとすごいぞ」

ピンポーン

アムロ「お客さんのようだぞシャア」

シャア「む、誰だ」ガチャッ

ハマーン「遊びにきてやったぞ、感謝しろ俗物」

シャア「ハ、ハマーン！なぜ急に！これから私はガンプラの新境地へと足を踏み込もうとしているというのに」

ハマーン「黙れ俗物、いい大人がこんな真昼間から部屋に閉じこもって不健康だとは思わんのか。だからこの私が直々に様子を見に来てやったというのに」

シャア「余計なお世話だ！」

ミネバ「シャア、元気にしていたか？」

アムロ「ザビ家のミネバ・ラオ・ザビまで！？一体これはどういうことなんだ？」

ミネバ「ハマーンが一人でシャアの家に作ったガンプラを見せにいくのは恥ずかしいから私に着いてきてくれないかと言うのでな」

ハマーン「ミネバ様それはおっしゃらない約束のはず！ちちちちち違うぞシャア！断じて違うのだ！」

ミネバ「ふむ、初期のMGザクと比べて各部ディティールは減っているものの、個人個人が持つザクのイメージの最大公約数的なデザインに定評があるVer2.0を選んだか、なかなかいいキットを選んだなシャア」

シャア「ミ、ミネバ様…？おいハマーンこれはどういうことだ」

ハマーン「いや、私がシャアの真似をしてガンプラを作り始めたところミネバ様も興味を持たれて嗜むようになったのだ…しかもその若さ故に上達も早くてな…」

シャア「よくもミネバ様をこうも育ててくれた！ザビ家の頂点に立つ者がこんな若いうちからガンプラにはまって何とするか！」

ハマーン「う、うるさい俗物が！ガンプラだって一種の知的玩具のようなものだ！」

ミネバ「シャア、ガンプラは楽しいぞ。ハマーンを責めないでやってくれ」

シャア「ミネバ様がそうおっしゃるのであれば…」

ハマーン「それよりもシャア私の作ったキュベレイを見てくれ、機体色を全てピンクにして私のキャラデカールを貼りつけた痛キュベレイだ、どうだ惚れ惚れするだろう？」

ハマーン「ﾁｯ」

シャア「さて、始めるとするか…むっ、箱を開けて感じるこのプレッシャー！やはりさすがにパーツ量が多いな」

アムロ「MGはHGUCと違って内部フレーム、MSの骨格を組み立てる必要があるからな、外装を付けてしまえば中は見えないがそのこだわりこそがMGの魅力とも言える」

シャア「なるほど、つまり内部フレームを先に組み立てて後から外装を取りつける実機さながらの作り方が楽しめるというわけだな」

ハマーン「おい俗物、暇だから貴様が作ったガンプラで遊んでてもいいか？」バリバリ

ミネバ「さすがはMGであるな、コックピットまで精巧に再現されている。コックピットにもしっかりシャアの人形が収まるのだぞ」

シャア「1/100スケールの私、か。小さいが後でしっかり塗装を施さなければ」

アムロ「小さくて一見塗りづらそうに見えるが極細の面相筆を使って慎重に塗ればなんてことはない」

ハマーン「シャアー、クロスボーンガンダムの5巻が抜けてるぞー、どこだー」

シャア「こ、これは！動力パイプの細かいパーツをランナーに付いたままの状態で組み立てることができるのか！バンダイの技術は化け物か！？」

ミネバ「2.0が出る前の動力パイプはパーツが細かく紛失するケースも多く、何よりも組み立てが面倒であったそうであるからな」

シャア「よし、胴体が出来てきた。この時点でものすごい密度が感じられる…開閉するコックピット、可動するランドセルのバーニア…実に楽しいギミックだ」

ミネバ「シャア、次の工程は頭だぞ。一番目立つ部分だ、心してかかるように」

シャア「はっ！」

ハマーン「キンケドゥ・ナウ…私はクロスボーンガンダムなう…ククク」バリバリ

ミネバ「最近ではHGCUでもモノアイが可動する機構は備わっているが首の動きに合わせてモノアイが可動するのはMGならではだな」

シャア「さすがはMGだ…だがモノアイがただの透明なのが気になるな」

ミネバ「ガンプラのクリアパーツは無色透明なことが多い、このシャアザクモノアイもその例外ではないので何かしらの対処をした方がいいぞ」

シャア「クリアパーツを生かすのであればクリアレッドなどで塗装するのがよさそうですな、もしくはH-アイズを使うなどするべきか…」

ミネバ「バンダイはそろそろ無色透明なクリアパーツと色が付いたクリアパーツを標準で付けてもらいたいものだ」

アムロ「せっかくのクリアパーツにシールを貼ってしまうのは少し勿体ないからな」

ハマーン「色と言えば食品に使用される赤い着色料の素であるコチニール色素はサボテンにくっついてる虫が原料だそうだぞ」

ミネバ「どうしたのだシャア？」

シャア「HGUCを作っていたときにも思っていたのですが腕や脚のような同じパーツを2つも作る工程は気が遠くなる心持ちになるのです…」

アムロ「そういうときは右腕や左腕を同時並行で作るといい、確かに片腕ずつ作っていると下がりがちなモチベーションだが同時に作ることでそのストレスは軽減されるぞ」

シャア「なるほど！その手があったか」

ミネバ「シャア、これが四足のゾ○ドとかになるともっと辛いのだぞ」

シャア「ミネバ様はゾ○ドまでお作りになられるのですか…」

アムロ「スパイクアーマーなどを見てもらえばわかるがこのキットの特徴の一つとして合わせ目のほとんどが存在しないことが挙げられる、地味ではあるがガンプラにとっては大きな躍進なんだ」

アムロ「人間の手のように可動させることができる可動指によってライフルやヒートホークを自然な形で持たせることができるんだ」

ミネバ「これもまたMGの大きな特徴の一つと言えるが、最近ではRGにも可動指が採用されていたりするぞ」

シャア「MS同士でジャンケンをさせるなんて酔狂な真似もできるな」

ハマーン「キラッ☆もできるのか？」

アムロ「ああ、それくらいお茶の子さいさいさ」

ハマーン「シャア！シャア！キラッ☆」

アムロ「MGで二重間接は最早当たり前の存在だからな。そのおかげで立て膝のポーズもよく決まるのさ」

ハマーン「あっ」

シャア「どうしたハマーン」

ハマーン「いやなんでもない！なんでもないぞシャア！」

シャア「嘘を付け！今何を隠した！ええいっ見せろ！」

ミネバ「ハマーン、何か落ちたぞ？これは…グフの脚だな、根元からポッキリいってしまっている」

シャア「（声にならない悲鳴）」

ハマーン「わわわわわ悪気はなかったのだ！ちょっとグフで遊んでいたらだな、これがこうなって、それで貴様が怒るのではないかと思ってだな、その、なんだ…ふぇぇ」

シャア「な、泣けば許されるとでも思っているのか！私の方が泣きたい気持ちだ！」

シャア「真鍮線だと？」

ミネバ「模型製作には欠かすことのできない金属線のことだ、様々な太さがあって補修に使ったり、機体のアンテナに見立てるなど用途は様々だぞ」

アムロ「こういったHGUCの軸折れの補修の際に使う真鍮線の太さは1mm程度が丁度いい。以前使ったピンバイスで折れてしまった二つのパーツの断面に真鍮線の太さに合った穴を空ける。あとは適当な長さに切った真鍮線を差し込んで接着剤で断面を接着するだけだ」

シャア「こ、これで本当に直るのか…！？」

ミネバ「むしろ元よりも丈夫になるぞ、なにせ中に金属の棒が入っているのだからな。そのまま接着するのとでは訳が違うのだ」

アムロ「こういった技術は様々なことに応用できる、覚えておくといい」

ハマーン「ふぇ、すまなかったシャア、許してくれ…俗物なのは私の方であった、ふぇぇぇ…」

シャア「何、貴様のおかげでまた一つガンプラマイスターへの道が開けた、気にするなハマーン」

アムロ「おめでとうシャア、既にHGUCで鍛えられているから手際もよかったな。スミ入れも部分塗装も綺麗に仕上がっている」

ミネバ「うむ、さすがはシャアだな。今度はMGでも歴代シャア専用MSを作って見るといいぞ」

シャア「HGUCも素晴らしいがMGはさらにその先を行く魅力があることを知ることができた！価格もそう安くはないし作るのも手間だが、それを以ってしても得られる感動は大きい！」

ハマーン「シャア、貴様のそのザク…かっこいいぞ」

シャア「ああ、ありがとうハマーン。君もこのMGのザクを手に持ってその素晴らしさを体感してみないか？」

ハマーン「だ、だが、さっき…」

シャア「私はいずれガンプラマイスターと呼ばれる男だ、先ほどのようなことで腹を立てるほど器量の小さい男じゃない」

ハマーン「シャア…！」

アムロ「（ガンプラを通じてまた仲間と絆を深めることができたな、シャア…。もっとガンプラを知り、人を知ることで真のガンプラマイスターへの道は近づくぞ。ミネバ様、私達は一足先に帰るとしましょう）」

カミーユ「クワトロ大尉―！これ前お話してた僕のZガンダムです！これPGなんですよ、1/60スケールなんで迫力あるでしょう？」

シャア「カミーユ！何っPGだと！？つい今しがたMGを完成させたばかりだというのに…！」

カミーユ「あ、それMGシャア専用ザクVer2.0ですね。MGは素晴らしいですけど僕ほどの人間になるとPGもなければ満足ができないんですよ。そういえばクワトロ大尉はPGは作らないんですか？」